定例会報告

2019年度定例会報告

10月定例会

日時:2019年10月15日(火)

場所:当クラブホール

講師:大山 憲二氏
(神戸大学大学院農学研究科附属食資源教育研究センター主事 教授)

演題:「和牛の来た道、進む道」

 講師は、神戸大学農学研究科の付属農場にて和牛の研究と教育に従事されているが、その和牛がどんな道を歩んできたのか、これから和牛はどのような道を歩んでいくのかについて講演いただきました。
 まず主要各国の牛肉の輸出入の特徴を紹介されたのち、わが国の特徴として国内生産が牛肉の輸入自由化後も減少することなく維持されている事実を指摘され、また、わが国の畜産物生産のなかで牛肉の生産は他の畜産物と異なり、和牛という日本国内で造成されたものが国内生産を担っていることが、特徴であることを指摘されました。
 そのような事実を踏まえ、わが国で造成された肉用牛の総称である和牛であるが頭数的、分布的にもそのほとんどが黒毛和種である事実を提示して、黒毛和種以外は生産量が極端に少ないことを説明されたのち、輸入自由化に対抗するため高い品質の牛肉を生産する方向で牛の改良が進み、兵庫県産の黒毛和種を意味する但馬牛を素とした神戸ビーフ等のブランドで販売されている牛肉であることを説明されました。
 そのうえで研究の方向性として牛肉の購入に関するアンケート調査を参照して「美味しい」牛肉を作るには不飽和脂肪酸を改良するのが重要であることを指摘され、その方向での改良の研究が進んでいることと、肉は良くなったが恐らく乳量が少なくなっているために牛の子育てが下手になっている状況に懸念を示し、3Dカメラを利用して子牛の発育状況を監視する研究の一例を紹介されました。
 現在の問題点として質を良くするため、人間で言うところの近親婚が多いために血が濃くなり、その結果多様性が失われつつある問題があることに触れられました。多様性がなくなると質は良くなると、質は良くなるが、悪い遺伝子が出る可能性が高くなるのという問題が存在することを指摘し、改良と多様性をどのようなバランスをとってやっていくかが重要になっていることを説明され、牛の血縁関係を少し薄くする系統の再編が必要であることを強調されました。
 また、えさ量は全体の4分3が輸入に頼っており、海外からの輸入が途絶すると牛肉生産が維持できない状況と、和牛が役用牛であった時代から肉用牛としての価値が重視される時代の流れの中で今後も牛肉を食べ続ける正当性が必要になってきており、研究者はそれを補強することが重要になっており、工業製品が毎年新しい製品を出しているように農作物についても常に走り続けなくてはいけない点を指摘されました。
 最後に最近報道された中国への和牛の受精卵など不正持ち出しは、長年に渡る日本の畜産業の品種改良をむだにする行為であり、日本の畜産業に大きな打撃を与える行為であることと長年の努力が一瞬の行為で失われないようにする関係者の自覚が必要とのことを強調されて講演を終わられました。

出席者合計22名


9月定例会

日時:2019年9月17日(火)

場所:当クラブホール

講師:山科 威氏(古代史研究家)

演題:「邪馬台国の真実」

 講師は大学卒業後に短期間のサラリーマン生活ののち家業を継いだが、生野区と住吉区に住んだ経験から古代史に興味を持ち邪馬台国に特に関心をもつようになった。

 2009年の奈良の纒向遺跡は邪馬台国大和説を補強したとされるが、そうではないことを講師は説明された。

 まず邪馬台国は明らかに大和朝廷以前に成立した国家にもかかわらず、古事記や日本書紀には全く触れられていないと言う事実を指摘したのち、吉備や出雲が記紀に登場するのに邪馬台国が登場しないのは邪馬台国の後身が大和朝廷であり、この事実が公の史書に記録されると邪馬台国の中国大陸の王朝への朝貢と言う事実が、天皇は神の子孫であると言う皇国史観の論理と相入れないものであると言う論理を説明された。

 魏志倭人伝の記述による邪馬台国への道程を大和説に沿った説明をされ、この説明は魏志倭人伝の「道程を記載した情報の数字」が誤っているのに「正しい」とすることからくる「誤り」であり、むしろ記載されている国の位置関係を重視すべきであることを論じたのち、複数の客観的な第三者の現場目撃証言と国の位置関係を総合すると北九州の筑紫平野に邪馬台国が存在したと考えるのが自然であるとの説明がなされた。

 ただ邪馬台国九州説は物的証拠が少なく、考古学者の主流派が纒向遺跡=邪馬台国を支持している現状からみると物的証拠をみつけるのは費用と時間と筑紫平野周辺の開発のことを考慮すると悲観的に考えざるをえないが、いずれ邪馬台国九州説を肯定せざるをえない遺跡が発見されると講師は力説されました。

 なお邪馬台国の存在に関しては文献や考古学的遺跡により、その存亡がどうなったかは確定していないが、纒向遺跡周辺の状況を説明し母集落をできない荒地であることを指摘して、そのよう地域に突如政治の中心となるような大型の建物が出現したことは強力な政治集団が他の地域から移動してきたことが言えると説明されました。

 その事実を踏まえて地名辞典等の調査をしてみると出雲地方や吉備地方と異なり、奈良には大和と言う古い地名がないうえに地名の位置関係を調べてみると北九州の筑紫平野周辺の地名の位置関係と大和の纒向遺跡周辺の地名位置関係が一致する事実を指摘して、このことは九州から奈良へ邪馬台国が東遷したことを示していると説明された。

 くわえて纒向遺跡周辺の古墳を調査してみると吉備関係の土器が多数出土していることと大和の三輪山に出雲の神を祭っていることと日本神話では大和と出雲の神が姻戚関係になった記述があるが、この事実は邪馬台国の政治力によって出雲と邪馬台国が連合し、その連合に吉備を巻き込んで東遷が可能になったと説明された。

 そのうえで奈良へ東遷する理由について北九州地域は人口増加により過密な地域になり政治的にも安定しない地域である一方で奈良地方は軍事的に遅れており、比較的災害はなく有力な豪族もいないため大きな空地になっており、このことゆえに邪馬台国が奈良へ東遷する理由となった。

 講師が主張する邪馬台国九州説と邪馬台国東遷説の大要は以上であるとの説明がなされた。

出席者合計39名


ビアパーティー2019・留学生を励ます会

日時:2019年8月6日(火) 18時30分~20時30分

場所:大阪凌霜クラブ・ホール

本年も恒例のビアパーティが一般社団法人大阪凌霜クラブ/神戸大学学友会大阪クラブで、一般社団法人凌霜会大阪支部の共催で盛大に開催されました。留学生15名、宮脇応援団団長中心に5名の応援団を久し振りに迎えました。始めは果たして何名になるかと心配しましたが、大勢集まりました。

冒頭、宮本理事長が挨拶致しました。その後来賓の方々の紹介に続き、武田学長、塚田学友会副会長のご挨拶が続き、岸本凌霜会専務理事のご発声により全員で乾杯を致しました。

神戸大学への海外からの留学生は、92か国1,399人にも及び、今回は11か国15名の方々を招待しました。生ビールを飲みながらしばらく懇談の後、5名の新入部生も入った応援団のパフォーマンスに元気をもらいました。

次に、若手の会松井さん、谷口さんの司会で留学生15名にスピーチを頂きました。経済学、経営学、法学、医学、保健学の研究に携わる方や将来は日本で就職したいので学業の傍らインターンシップで働いている方等々、片言の日本語の方、流ちょうな日本語で語られる方等々自己紹介をして頂き、1人1人が自覚して日本に来て勉強しようという意欲と姿勢が感じられました。

続いてプレゼント抽選会が始まると、留学生には始めは豪華な景品が当たらなかったのが当選者から留学生へのプレゼントもあり盛上りを見せました。

最後、乾運営委員長の挨拶で終わりました。

(文責・瀬野鋼太郎・S46年・経営学部卒)

出席者合計63名

6月定例会

日時:2019年6月18日(火)

場所:当クラブホール

講師:荒川 政彦氏

演題:「はやぶさ2による小惑星探査と宇宙衝突実験」

6月は、神戸大学大学院理学研究科荒川政彦先生にお願いしました。非常にタイムリーなご講演でした。
 太陽系には8つの惑星があり、火星と木星の間には70万個、或いは、それ以上の数の小惑星という小天体があるとの事でした。小惑星は、地球と太陽の距離の3倍程を中心に分布し、大きいものでも直径1千km、小さいものは1m以下のものまであります。小惑星の観測から、かなりの割合の太陽光を反射して明るく見える小惑星や大部分の太陽光を吸収して暗く見えるものがあることが知られています。個々の小惑星から反射する光のスペクトルが違うのは、小惑星を構成する岩石が異なるからです。例えば、マグマが一旦溶けてその後固化したものか、一度も溶けなかったのか、また、水・有機物を多く含むのか、それとも金属を多く含むのか等に依存します。リュウグウはCタイプと呼ばれている小惑星で、非常に暗いことが知られており、水や有機物を含むことが期待されています。
 我々もこれらの小惑星を直接手に取って見ることが出来ます。隕石と言われているものです。2013年に小さな小惑星がロシアに落ちました。車のドライブレコーダーに残されていた記録などから、その軌道等が推測されました。この小惑星は、直径17㍍ぐらいのもので、落下中に細かく破砕したことが知られています。この様な地球近傍小惑星と言われる種類の小惑星は、地球と軌道を交差し、地球の内側まで行くことがあります。たまたま軌道交差時に近くに地球があり、その重力に取り込まれると落ちてきます。ロシアに落ちた隕石は、普通コンドライト隕石であることが分かっています。地球で回収される8割がこの普通コンドライト隕石です。
かつて日本は、アメリカを凌ぐ数の隕石を持っていた国です。今でも世界2位です。これらの隕石は、主に南極観測時に行った調査により持ち帰ったものです。普通コンドライト隕石の特徴は、コンドリュールと言われるサブmmサイズの丸いツブツブで内部が占められていることです。一方、炭素質コンドライト隕石は、土を固めたようなもので、水とかアミノ酸を含んでいます。
 2014年12月3日、はやぶさ2の打ち上げが成功し、2019年2月22日に小惑星リュウグウへの一回目のタッチダウンが成功しました。タッチダウンは、3回やる予定でしたが、リュウグウの表面が岩だらけだったので、準備に手間がかかり2回しか出来なくなりました。この成功は、言葉で言うと簡単ですが、お話を聞くにつれ、ミッションを成功させることは、なかなか大変なことだと思いました。
 先生のお話では、リュウグウの表面を見て「困ったなあ」と思ったとのことでした。ゴツゴツしていて平らな場所がなく、果たしてサンプルを回収できるのかと思ったそうです。リュウグウをいろいろ観察して、タッチダウンが可能な平らな場所があるかどうか探しました。タッチダウンには、60㎝以下の凸凹しかなく、3〜4m四方の広さがある場所が必要でしたが、なかなか見つかりませんでした。とに角苦労して適切な場所を探して、サンプラー用の小型弾丸を打ってサンプルを採取しました。後は、無事地球まで持ち帰ることが肝心です。
 リュウグウは非常に暗い天体で、画像処理して明るく見せているだけとのことでした。地球は公転面に対して23.4度傾いていますが、リュウグウの自転軸は垂直に立っています。また、リュウグウは球形と想定していましたが、球形ではなくコマ形でした。コマ形になったのは、遠心力のためだろうと言われています。なので、自転軸方向(真上)からみると真ん丸です。 リュウグウは、見た目は真っ黒ですが、水があることがスペクトル分析で分かりました。そして、リュウグウにはクレーターと言う窪地があります。この主な成因は小惑星の衝突です。このリュウグウ上のクレーターや様々な地形は、ある一定の基準に則って名前が付けられています。その基準は、「世界中のおとぎ話」です。
 神戸大学理学研究科では、人工クレーターをつくった衝突装置(インパクター)を用いた科学研究とその衝突をその場観測した分離カメラの開発を担当しました。4月5日にこのインパクターを用いた衝突実験が、リュウグウ上で行われました。その結果、はやぶさ2のインパクターにより見事に人工のクレーターが作られました。そして、その大きさは10㍍以上でした。また、衝突の様子を分離カメラで撮影することにも成功しました。この実験の後、記者発表やインタビューがあり、カメラのフラッシュを浴びてびっくりしたとのことでした。このマスコミ報道のおかげで20年ぐらい連絡なかった友人から突如連絡がきて、またびっくりしたとの事でした。今回の講演では、ミッションの前に次々障害があらわれ、乗り越える大変さが伝わってきました。
 インパクターをリュウグウ表面に衝突させた次は、こうしてできた人工クレーターから放出した物質をタッチダウンにより回収する予定です。この試みは7月上旬に行うことになっています。是非とも2回目のタッチダウンも成功することを祈っています(後日、7月11日に2回目のタッチダウンにも無事成功しました)。

(文責・瀬野鋼太郎・S46年・経営学部卒)

5月定例会

日時:2019年5月21日(火)

場所:当クラブホール

演奏:千静&植野由美子

演題:「津軽三味線と箏のひびき」

今月は趣向をかえて、発達科学部出身の女性2人に演奏をお願いしました。
最初に箏と三味線の来歴について語って頂きました。箏は平安時代、千年前の「源氏物語」で光源氏が弾いていたとのことです。ずい分古くから愛されてた楽器だったとのことです。正倉院にもおさめられているとのこと。お正月によく弾かれる宮城道雄の「春の海」が奏でられるとお正月に弾かれる楽器かと思いましたが、季節に関係なく弾かれているとのことです。

一方、三味線は、十六世紀頃、琉球から伝わったということで比較的新しいそうです。浮世絵で三味線を弾く姿が描かれたり、おつなものというイメージがありますが、津軽三味線は、力強い感じがします。
共演、独奏で弾いて頂きましたが、普段聞く音色と違って、こんなにも力強さがあり、相当なものだと思いました。
それにしても、発達科学部人間行動表現学科に、独特な楽器を弾く音楽科があったのにも感心しましたが、それ以上に若いお2人が独立して演奏するとのことで大変すばらしい事だと思いました。

(文責・瀬野鋼太郎・S46年・経営学部卒)


出席者合計18名

4月定例会

日時:2019年4月16日(火) 19時から
場所:当クラブホール
講師:大塚 啓二郎氏(神戸大学・特命教授)
演題:「産業開発戦略:アフリカと日本で何が違うのか?」

 今月は昨年の12月に日本学士院会員になられた大塚啓二郎先生にご講演頂きました。

大塚先生は、アフリカ、アジア各国の産業集積について、1980年代から研究されてきました。アフリカ、アジアの各国の産業集積等々研究成果についてまとめておられます。見えてきたのはいろんな形があるが、一定の産業集積の発展パターンがあるということでした。

アフリカやアジアでは、

① 情報取得が容易、模倣が用意である環境。
② 数々の企業が分業し競う。企業数は何百、何千にも及び、従業員数も増える。
③ 様々なタイプの従業員。企業内で創意工夫する、飛出して経営者になる。製造することが上手い。マネジメントが上手い、売るのが上手い等々、
④ しかし、生産性が低下し、儲けが少なくなり、大企業数が生き残る。
⑤ 打破するのは、シュンペーターの「創造的破壊」が決め手になる。新しい局面、高コストに負けない高品質の製品を創る企業となり、売上を高めること。

これらを参考にし、日本は何を学んだらいいか。

① 途上国にも先進国と同様、蓄積された産業の集積で経済発展出来た。日本も関東、関西に限らず各地方も産業集積をすべきだ。
② 企業の成長に併せて、工業区をつくるべき。
③ 企業の大型化に伴い、一定の金融支援を行うべき。
④ 海外から学ぶ、国内大学、海外大学との協力関係を築け。
⑤ 経営、組織改革、技術、科学について継続的に実行せよ。 等々である。

賃金の高い先進国が海外との競争について打ち勝つためには、

① 世界最先端の科学の活用であり、高度の知識の活用である。大学等の研究機関との連携が絶対的に不可欠であり、他国、他地域に負けない高度の知識の活用である。

が、40数年前に学生だった時習った経済学のようなご講演ではなかった。洗練された数学的美学が国際経済学ではなく、理論的経済学は絵に描いた餅か。

我々が習ったのは――W・W・ロストウの発展段階論や、デビット・リカードの比較生産費の原理――だった。予想と違って本当に驚くと伴に、長年の固定観念が積み重なったせいが、まとめるのに一苦労しました。

先生本当に現実的な国際的な産業集積論ありがとうございました。

(文責・瀬野鋼太郎・S46年・経営学部卒)

出席者合計24名

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